費用が高いけれども予防に役立つからという理由で、人間ドックの必要性を感じる人の数は増えているようです。これは予防医学会が推進活動を行っていることも理由の一つで、喜ばしい事態だと言えます。しかし、残念ながら「一度検査を受ければ安心」と考えてしまう人も中にはいるようです。確かにその時点では健康体であり、特別何も治療する必要はないかもしれません。
基準値も余裕でクリアしているので、体には自信を持っていて良いと考えてしまうかもしれません。しかし、肝心なのは情報の精度を高める事です。問題が見つからなかったとしても、過去のデータと比べて数値がどのように変化しているのかと、自分の体を相対的な情報から判断しなければならないのです。多くの人は、基準値という絶対的な数値に惑わされ、「今回の検査で正常だったので問題無い」と思い込んでしまいます。
しかし、大切なのはその情報をどう生かすかということです。これが、人間ドックは一度きりでは足りない理由です。検査後に受け取ることが出来る検査結果には、何回も受けていれば今回を含めて過去3回分の結果をみることが出来るようになっています。注目したいのは基準値ではなく、過去の結果に比べてどう変化しているかという事です。
もちろん、検査で基準値外になっていれば、医師の指示を受けて再検査や治療という流れになりますが、基準値以内だと、「問題無い」と考えて過去のデータと比べずに終わってしまいがちです。人間ドックは毎年、それが無理ならば隔年で受けて過去のデータと比べてみるようにしましょう。