ここ数年の死亡原因の上位3位以内には、悪性新生物つまりがんによる死亡が必ず入っている。そんな社会になってきています。われわれは寿命が延びたことにより、細胞の異型性が高まる可能性が高くなり、がんに罹患する可能性がどんどんと上がっているのです。がんに対する予防には一次予防・二次予防・三次予防といったものが存在しており、そのなかでもどのがんの種類においても最も大切とされているものはがん検診にもまして実は一次予防です。
つまり、ならないようにすること。肺癌にならないように喫煙をする。喉頭癌にならないように酒を飲み過ぎない。などです。
しかし、先に述べたように、多くの人がそれにもかかわらずがんに罹病してしまう現代では、なった後に治療可能なうちに診断することも同様に大切です。それががん検診というわけです。早くに見つかれば抗癌剤を使用することなく根治を目指す事ができるのです。たとえば子宮頚癌においてはがん検診で擦過診のみで早期発見を果たせば、下半身麻酔のみの子宮頚部を錐体状に切除するのみで治癒することができます。
仮に少し発見が遅れれば、全身麻酔でお腹を大きく切り、子宮全摘広汎のリンパ節郭清をしなくては根治はできません。それがさらに遅くなると抗癌剤治療しか残されず、根治が不可能となってしまうのです。つまり、根治を果たすだけでなく、自分の体の侵襲の大きさの観点からも早くに見つけることは非常に大切であり、がん検診は大きな痛みを伴う検査はありませんので、是非とも受けるべき事であろうと思われます。